GMOインサイトのアプリエンジニア カネテックです。
みなさん半田ごて握ってますか?ユニバーサル基盤を使っていると、小型化に限界を感じませんか?
今回はレーザープリンタを用いて、家庭で簡単にプリント基板を作ってみたいと思います。
生基板がお手元に無い方は、予め注文しておくとよいでしょう。Ebayで「Copper Clad Laminate Board」などで検索すると、数百円程度で色々出てくると思います。
概要
- 回路設計
- レイアウト画像作成
- 印刷
- 転写
- エッチング
- 穴あけ
- 実装
回路設計
今回はプリント基板自体が目的なので、回路は適当に2石の発信回路でLEDが点滅するものにします。
レイアウト画像作成
白黒画像が作れればソフトは何でも良いです。以下のような画像を作ります。今回はUpverterというWebベースのPCBレイアウトツールを使いました。
最初は成功確率を上げるために、パターンは太めにしておくと良いでしょう。
このようなパターンを作って、Gimpを使って2値画像化しました。
【Gimpで白黒画像化したもの】
これにベタを追加します。ベタを追加することでエッチングされる面積が減り、より多くの基板をエッチングすることができます。
印刷
光沢紙にレーザープリンタで印刷します。この後トナーを転写してマスクとしますので、インクジェットプリンタではいけません。
【光沢紙に印刷後切り出したもの】
転写
光沢紙を切り取り、生基板を同じ大きさで切り出します。切り出した基板は軽くやすっておくと定着が良いです。
【形を合わせて切り出します】
【やすった後の状態】
ある程度加熱すると張り付いてずれなくなるので、まずは光沢紙を濡らして張り付かせ、その後アイロンを当てて熱で貼り付けるとずれる事故が少ないです。
押し付けるように数分ほどアイロンを当てます。押しすぎるとトナーが潰れ、押す力が弱いと転写に失敗します。ここが一番難しいかもしれません。
【アイロン加熱中】
転写したら、よく水に浸して紙をふやかします。
【納豆容器で浸水中】
しっかりふやけたら、優しく剥がしましょう。残った繊維はトナー上のものは無視して大丈夫です。銅パターン上のものは指や爪楊枝などでしっかり落としておきましょう。
【剥がした後の状態。一見きれいだが……】
しっかり処理したつもりでも、乾燥させると以下のように紙繊維が残っていたりします。乾燥後の状態をよく確認し、しっかり繊維を取り除いてください。
【殆どの穴に紙繊維が残ってしまっている】
エッチング
以下を混合してエッチング液を作ります。
- オキシドール
- クエン酸
- 塩
【エッチングセット(塩写し忘れ)】
このとき、塩とクエン酸はだいたい1:4くらい(この二つを反応させるわけではないのでアバウトで大丈夫)とし、ぎりぎり溶け切るくらいのオキシドールを入れて混ぜます。
エッチング液はチャック付きのビニール袋に入れると扱いが楽ですし、液の量も少なくて済みます。
エッチング液に基板を投入します。
【投入!】
50度くらいのお湯で湯煎しながら、見守ります。環境によって違うと思いますが、今回は3分程度の湯煎で溶けきりました。
【湯煎しています】
【3分後。露出している部分の銅が溶けています】
エッチングできたら、トナーパターンを落とします。除光液を使うと簡単に落とすことができます。
【エッチング後】
【トナー除去後。きれいに銅が残っています】
エッチング後の液はへたるまで繰り返し使えます。使い終わったら十分な量のアルミニウムを入れて反応させ、銅を析出させてから金属を濾し取り、液と金属をそれぞれ自治体のルールに従って廃棄してください。アルミニウムを投入すると反応熱が出ますので、少量ずつ、冷やしながら入れることをお勧めします。
穴あけ
PCB用のドリルビットを用意して、電動ドリルで空けました。1.2mm程度のものが良さそうです。太い足のものを使う箇所がある場合は、それに合わせてビットを選んでください。
穴あけ後は酸化を防ぐためにフラックスを塗布しておきます。
実装
普通にはんだ付けしていきます。自分で作った基板に普通にはんだ付けできるって感動です!!
【裏面。せっかくなので一部チップ抵抗を使用】
【表面。すっきり】
なお、線の部分もマスクされてないので普通にハンダが乗ってしまいます。見栄えが悪くなるので、ランドからハンダがはみ出ないよう注意して作業するとよいです。
いかがでしたでしょうか?
プリンタの種類、光沢紙の種類、アイロンの種類、エッチング液の混合比などに影響されて仕上がりが異なってくると思います。
みなさん最強の組み合わせを模索してみてください!
kanetech
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