ITPの動きとその影響について

皆さんこんにちは。
普段は顧客対応や開発のサポート業務を行っておりますGMOアドマーケティングのR.Aです。
11月3日にiPhoneXが発売され暫く経ちましたが、皆さん機種変更等はされましたでしょうか。
自分も現在iPhoneを3年ほど使用しており、そろそろ買い換えようかと初日に予約を行いましたが、
様々な評価により一旦様子見をしている状態です。

さて、そんなiPhoneXと同時期にリリースされたのがiOS11・Safari11です。
とくにSafari11に新たに追加された「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」について
社内で対応する事がありましたので、今回ITPについてまとめてみました。

そもそもITPとは

ITP(Intelligent Tracking Prevention)とはサードパーティCookieの利用を
制限し、意図しない追跡からユーザーを保護するという
トラッキング防止機能になります。
これにより、サードパーティCookie使用して広告配信を行っている、
リターゲティング広告・コンバージョン計測に影響が出てしまいます。

サードパーティCookieとは

先ほどサードパーティCookieの利用を制限すると書きましたが、
そもそもサードパーティCookieとはどの様なものを指すのでしょうか。
簡単に説明すると、ユーザーが閲覧しているドメイン(URLアドレスバーに表示されているドメイン)で
書かれているCookieとは別のドメインで書かれているCookieの事を差します。

例を出すと
閲覧しているサイトのドメインがtestsite.co.jpだった場合、testsite.co.jp
書き込んでいるCookieがファーストパーティCookieとなり、
その他、広告の取得を行うなど裏側で通信を行っているドメイン(adnetwork.co.jp)で
書き込んでいるCookieがサードパーティCookieとなります。
ファーストパーティCookie:testsite.co.jp
サードパーティCookie:adnetwork.co.jp

続いてこのサードパーティCookieがどのように保持されるのかWebKitにある
ドキュメントをもとに説明出来ればと思います。

ITPにおけるサードパーティCookieの動き

①Safari11経由でwebサイトを表示し、クリックやフォーム入力等を行ってから24時間

この①地点で注意する点ですが、webサイトのアクセスから24時間では無く
クリックやフォーム入力等のアクションを行ってから
24時間はサードパーティCookieの利用が可能という点です。
WebKitのドキュメントを確認いたしますと

How Does Intelligent Tracking Prevention Work?

引用元:WebKit|Intelligent Tracking Prevention
という表題の所にタップ、クリック、テキスト入力等を行ったときと記載があります。
ですので、webサイトのアクセスから24時間では無く、
webサイトを表示し、タップ、クリック、テキスト入力といった操作を行った時点から
の24時間となります。

②24時間〜30日目

この期間はサードパーティCookieは保持されますが、
トラッキング用のCookieは使用出来ません。
よってコンバージョン・リターゲティングが行えず、機会損失となってしまいます。
ですがログイン情報等は使用出来る為、ユーザーに不便を感じさせる事は
少ないかと思います。

③30日以降

サードパーティCookieが削除され、保持も行いません。
▽ITPにおけるサードパーティCookieの挙動

WebKitを参考に、当社がグラフ化したもの

iPhoneとiOS11のシェア率について

StatCounter Global Statsを参考に、当社がグラフ化したもの

StatCounter Global Statsの発表によると、執筆時点(2017年11月)での日本におけるスマートフォンシェア率はiPhoneの所持率は、67%ととなっており
ほぼ70%と高いシェア率を誇っています。
日本は世界から見ても特にiOSのシェアが高いので、今回のITPの影響が大きいと推測出来ます。
▽国内のスマートフォンシェア率

また、Appleが11月6日に公開した情報によるとiOS11のインストール率は
52%になっており、半分以上の端末でSafari11が使用されている事になります。
▽iOS普及率

Apple Developerを参考に、当社がグラフ化したもの

発売されたばかりのiPhone8・iPhone8 Plus・iPhoneXはもれなくiOS11が
インストールされているので、今後更にこの比率があがってくるものかと思われます。
さらにmacOS HighSierraが搭載するSafari11でもITP機能を装備していますので、
対応は必要不可欠になってきます。

さいごに

今回ITPについてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。
ITPという単語は知っているが、詳細まではよく分からないという方の参考になれば幸いです。

今後も営業・顧客対応を行いながら、エンジニアとしても成長して行きたいと思います。