2020年のアドテク事情について

投稿者: | 2020年12月25日

この記事は  GMOアドマーケティングAdvent Calendar 2020   25日目の記事です。

こんにちは、GMOアドマーケティングの星野です。

アドテクノロジーでは、3rd Party Cookieを利用したターゲティングが中核として発展してきました。
ですが、SafariのITPに続き、ChromeのPrivacySandboxが発表されるなど、プライバシー保護の潮流から今後は、Cookieが使えなくなっていきます。

そのため、広告のエコシステムを維持しつつ、プライバシーを保護する仕組みづくりが議論されています。

本日は2020年のアドテク事情として、以下について解説をいたします。

  • TCF2.0
  • UnifiedID2.0
  • PrivacySandbox

TCF2.0

TCF2.0はTransparency& Consent Framework2.0の略称で、透明性と同意のためのフレームワークです。
このフレームワークは、オンライン広告の技術策定を行う団体であるInteractive Advertising Bureau(IAB)Europaにて策定されました。
Cookie利用の同意が必要とされたEUの一般データ保護規則(GDPR)に準拠しながらRTBによるCookieターゲティングを行えるようにするのが目的です。

1.0は2016年に策定されましたが、アドテクノロジーベンダー寄りの内容となっていたため、パブリッシャー側の意見をとりまとめた2.0が2019年に策定されました。
2020年には、Googleも参画し、他に選択肢もないことから業界標準となったといっても良いのですが、GDPRに準拠していると規制当局から認められているわけではないため、今後も注視が必要な技術となっています。

日本の個人情報保護法も2020年に改定されましたが、GDPRほどの厳しい規制にまでは至っていません。
ですが、今後厳しくなっていくことと見られています。

Unified ID2.0

UnifiedID1.0は、世界最大級のデマンドサイドプラットフォーム(DSP)であるThe Trade Deskが策定した、CookieをベースにしたIDソリューションでした。
UnifiedID2.0は、IABが策定、The Trade Deskは実装者として進めています。

UnifiedID2.0ではCookie-less時代を見据えて、Cookieベースではなく、メールアドレスをベースとしたソリューションになっており、1.0とは、全く違うID体系となりそうです。

2020年7月に発表されて以降、CriteoPubMaticニールセンLiveRampなどの大手のアドテクベンダーが参画を表明しております。

現在は、ベータテストの段階ですが、2021年度前半にはGA版に移行すると言われています。
この流れが加速すると、良質のコンテンツを読むには会員登録が必要になってくることが増えるかもしれません。

PrivacySandbox

SafariではITPによって3rdParty Cookieの規制が進んでいますが、Chromeも2020年1月に2年以内にCookie削除をする方針を打ち出しました。
それに伴って、広告のエコシステムを維持しつつプライバシー保護をするための仕組みとしてPrivacySandboxというプロジェクトが立ち上がりました。

PrivacySandboxの以下の要素について、最新の情報も交えつつ解説していきます。

  • TURTLEDOVE
  • FLoC
  • Trust Token API
  • Click Through Conversion Measurement Event-Level

TURTLEDOVE

TURTLEDOVEは「Two Uncorrelated Requests, Then Locally-Executed Decision On Victory」の略称となり、直訳すると「2つの無相関のリクエストとその後ローカルでの勝利決定」となります。

2つの無相関のリクエストについて

広告リクエストがインタレストベースとコンテキストベースという2つのリクエストに分割されます。

インタレストベースのリクエストとは、興味があるグループについての広告リクエストになります。
広告プラットフォームは広告主ページに訪れたユーザに対して、特定のグループに所属すると事前にブラウザ側に登録しておくことで、ユーザのサイト訪問とは全く無関係に不定期に広告プラットフォームに対してリクエストされます。

コンテキストベースのリクエストはユーザが訪れたURLについての情報のみをもとにした広告リクエストになります。
ユーザがサイトにアクセスした際に、広告プラットフォームに対してリクエストされます。

ローカルでの勝利決定について

ここでいうローカルとはブラウザという意味になります。
インタレストベースの広告リクエストとコンテキストベースの広告リクエストのどちらを出すべきかの判断をブラウザ内で完結させます。
具体的には、2つの広告リクエストを比較して金額の高い広告を出します。

TURTLEDOVEまとめ

インタレストベースとコンテキストベースのリクエストに相関が無いため、ターゲティングを維持しつつ、ユーザの行動履歴を追跡出来ない様にしつつ、さらに、判定処理をブラウザ内で完結することで、プライバシーを担保しようという仕組みになっています。

TURTLEDOVEについてはCriteoからSPARROW、AdRoolからはTERNといった形で改善案がいくつか出されています。

また、GoogleからもSPARROWを受けてDovekeyを提案するなど、まだまだ仕様については変更がありそうです。

FLoC

FLoCは、「Federated Learning of Cohorts」の略称となっています。

ユーザを個人ではなく似たような行動をしているユーザを群としてラベル付けを行い、広告プラットフォームはユーザ群である、ラベルに対してターゲティングを行うことで、個人を特定せずにターゲティングを行う仕組みとなります。

正式名称に出てくる「Federated Learning」とは機械学習モデルをローカル内のデータで学習し、学習結果だけを集約し、モデルを更新する仕組みになります。
この方法により、データを外部に出す必要がないため、プライバシー保護を維持しながら全体最適をすることが出来ます。
この仕組は、Googleのキーボードアプリ「Gboard」で既に利用されています。

Federated Learningを利用することで、ユーザの情報を外部に出すことなく、ユーザをグルーピングすることが出来ます。

Googleは10月にFLoCのアルゴリズム評価を行った結果について発表しました。

プライバシー性を保持しながら、ランダムよりもよい分類結果を出すことが出来たとの内容になっていますが、Cookieを利用した場合との比較などはないため、実際にどの程度の効果があるのかはまだ分からない状態です。
まだ、最初のテストとの位置づけとなっているので今後も実験を進めていくものと考えられます。

Trust Token API

Chrome版のreCaptchaとも考えられています。

Cookieによるユーザ識別ができないとBotなどアドフラウドの判定も出来なくなってしまいます。
それを防ぐために、人間であるかどうかを確認できるAPIをブラウザ側で用意する必要があります。
Trust Token APIを利用することで、人間かどうかを判定することになります。

あくまで人間かどうかを判定するだけとすることでターゲティングには利用させず、プライバシーを保護することを実現しています。

この機能は現在βリリースされているため、実際に動作を確認することが出来ます。

Click Through Conversion Measurement Event-Level

クリックしたユーザに対してコンバージョン測定を行うためのAPIになります。
コンバージョンの判定にはクリックとCVのリクエストの紐付けが必要になり、その紐付けにCookieを利用しています。

クリックとCVのリクエストの紐付けをブラウザ内で行い、CV結果の通知もリアルタイムではなくすことでプライバシーを保護する仕組みとなっています。

3rdParty Cookieがなくなっても、1stParty Cookieを利用することでCV計測は可能ではありますが、このAPIを利用することでより正確に取得する事ができるようになると思われます。

この機能も現在、βリリースされており、実際に動作を確認することが出来ます。
また、同様の機能がSafariでも検討されており、こちらもTechnology Previewにて確認ができます。

どちらもW3Cにて議論されているので仕様が統一されると良いのですが、双方で目指しているところが微妙に違っており、ブラウザによって対応方法が違ってくる可能性もあります。

まとめ

2020年のアドテク事情をまとめさせていただきました。
PrivacySandboxもいくつか実装が発表されるなど着実にCookie廃止に向けて進んでいるという実感を持ちます。

当初の予定どおりであれば、Cookieが使えるのは2021年までとなりますが、実証実験がまだまだなFLoCやTORTURLEDOVEが間に合うのかは不透明な状況でもあります。

GMOアドマーケティングでは、PrivacySandboxなどの技術的な要素をフォローしつつ、CookieがなくなるCookie-less時代においてNo.1になるべく、コンテンツを重視する仕組みづくりを進めてます。


本日でGMOアドマーケティング Advent Calendar 2020 も最終日ですが、ぜひ今後も投稿をウォッチしてください!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!