お久しぶりです。GMOアドマーケティングの22卒エンジニアの天河です。
最近おブログが完全にお留守でした。これを機にまたいっぱい書いていこうと思います。
ところで先日、GMOインターネットグループで、1年間最も活躍した仲間を讃える社内表彰「GMOアワード」が開催されました。天河はそこで、全社7000人以上のパートナーの中から新卒エンジニア部門で最優秀賞を受賞しました!
この発表を迎えるまで色々な人が資料と発表を見てくださったりと、本当に多くの方に大変お世話になりました。 改めて御礼申し上げます!
天河はこの新人賞選考のプレゼンまで、ほとんど人前でプレゼンをしたことがありませんでした。そこでいろんな書籍を参考にしたり、プレゼン/デザインが上手な上長の方にアドバイスを貰い、実践してきました。その過程を通して学んだことや気づいたことを記したいと思います。
ちなみに結構長いです。
目次
- 「相手を動かすための」プレゼン構成にする
- デザインは「整列」「統一」「余白」を守ればOK
- 中学生が聞いてわからないことは言わない
- みんな思ったよりプレゼンに興味がないので仕掛けがいる
- どう伝えるか研究する
- 引くくらいの練習と準備をする
1. 「相手を動かすための」プレゼン構成にする
プレゼンでは何らかの目的があると思います。その中でも全員に共通しているのは、
「プレゼンを見てもらった上で相手に何かをしてもらう事」
だと思います。
天河の場合「投票してもらう」のが目的なので、そのためにまず以下のことを考えます。
- ターゲットは誰か(Who)
- どうやって伝えるか(How)
- ゴールは何か(Want)
ターゲットは誰か(Who)
- 営業部門 / エンジニアの人か
- プレゼン内容に対して詳しい / 詳しくない人か
- 自分を知っている / 知らない人か
どの対象にプレゼンするか想定する。ターゲットに対して
「この説明や内容で伝わるかな?」
「相手が興味を持ちそうな内容は何だろう?」
「相手が興味を持っていることは何だろう?」
と分析して、プレゼン内容を作っていきます。
どうやって伝えるか(How)
(天河の場合)ピラミッドストラクチャーで話を組み立てました。
- 結論は一つ
- 結論に対して根拠を3つ用意する
- 根拠に対して、それを裏付ける事実や具体例を複数用意する
- 結論で始まり、結論で締める
人間は多くの情報を一度に入れることができないです。なので結論はスッキリ一つにします。
そして、結論で始まり結論で締めることでより主張を強めます。
ゴールは何か(Want)
ゴール(=結論)は「ある事実を通して自分の意見を主張する」こと。
今回のケースだと、
「1年間で〇〇の実績を残し、会社に貢献した。」
のは結論ではなく「事実」。事実に自分の主観や主張を入れて、初めて結論になります。
この例に主張を入れるとすると、
「1年間で〇〇の実績を残し、会社に貢献した。この事実は新人賞に値する実績だと考えるので、投票してください」
になり、これが結論になります。具体例や事実は根拠の裏付けです。具体例を聞き手に話して内容をイメージしてもらうことで、共感や理解に繋げます。
以上の3つを考慮して、ゴールを明確にして結論を作り、その結論の根拠を固めていくピラミッドアーキテクチャでプレゼンの構成を考えました。
お願いしたい内容をどのように伝えたら、相手がそのお願いを聞いて動いてくれるかを考えるわけですね。
ここをしっかり固めたら、今度はそのプレゼンを補足するようなスライドを作成していきます。
このストーリーと構成を決めずにスライド作成に取り掛かって、ただただ時間を溶かしてしまったので皆さんは気をつけてください。スライドはプレゼンの理解を補足するもので、メインではないです。
まとめ ・ターゲット・伝え方・ゴールを決める事に時間をかける ・スライドから作り出さない。スライドはプレゼンの理解を助けるものにすぎない。 |
2. デザインは「整列」「統一」「余白」を守ればOK
一つ目で述べた通り、スライドはプレゼンの理解を補足するものです。が、あまりにも見た目がお粗末すぎるのも考えものです。
天河はデザインに関しては全く自信なかったです。そんな天河でもスライドを作成する上で最低限守ったことは「整列」「統一」「余白」の3つです。
- 整列:図形や文字の位置や配置を整える。文字は右、グラフや画像は左
- 統一:文字のフォント、大きさを揃える。使用する色はメインの色から近い色の3色にする
- 余白:1つのスライドに情報を入れ過ぎない
統一と整列に関しては意識していたら守れますが、余白に関しては、あれこれ伝えようとするあまり一枚のスライドに情報を詰め込んでしまいがちでした。相手にこちらの話を聞いてもらうためにも、スライドをあまり読ませない必要があります。
なので「1スライドに0.8メッセージ」程度の一目でわかる情報量にすることを目標に、ノイズになりそうなものは極限まで削りました。具体的に行ったことは以下のことです。
- 体言止め、言い切る文体にする
- グラフや写真を使う
- アニメーションは使わない
以上を整えた上で、遠くからスライドを見て、一瞬で理解できるかどうかを確認しました。「こんなすっからかんで大丈夫?」なスライドでも、プレゼンの反応はシンプルな方が断然よかったです。
改善前と改善後(一例)
ブラッシュアップしたい時は、綺麗なスライド集みたいな本を買って、そこからパクったり、デザイナーの方の力フルにを借りました。自分の力で作らないことも大事ですね。
参考にしたデザイン本2つです。よかったら参考にしてみてください。
- 伝わるデザインの基本 増補改訂3版 よい資料を作るためのレイアウトのルール : 高橋 佑磨 (著), 技術評論社; 増補改訂3版 (2021/4/16)
- 一生使える 見やすい資料のデザイン入門 単行本 : 森重 湧太 (著), インプレス (2016/1/22)
まとめ ・デザインは最低限「整列」「統一」「余白」を守る ・主役は話し手。スライドは補助。なくても良いくらいのテンション。 |
3. 中学生が聞いてわからないことは言わない
エンジニア以外の人が見ているプレゼンでも、
「Vue.jsを使ってプロダクトを…」
「アーキテクチャのリファクタリングが…」
とカタカナ言葉、専門用語を敷き詰めて発表している方が結構いました。非エンジニアからすると本当に何を言っているかわからないです。一気に興味関心が離れてしまいます。
天河はそうならないよう、どんな聞き手でも(最低中学生くらいまでの人が)わかるような言葉を選びました。また、単にわかりやすい言葉に置き換えるのではなく、聞いている人が違和感なくスッと理解できる言葉に置き換えました。
「Vue.js」や「アーキテクチャ」「リファクタリング」といった難しい単語はそもそも使いません。
例:
レコメンドウィジェット → おすすめ記事と一緒に広告をWEB記事にいい感じに入れるプロダクト
Google Cloud Architect の資格 → プロダクト開発に役立つ資格
きちんと伝わる内容になっているかどうかは、発表内容に詳しい人とそうでない人に聞いてもらい、その反応を見て確かめました。天河は、普段業務で関わっている上長の方と高校の同級生にプレゼンを見てもらいました。その二人に同じ発表をして、二人とも違和感を感じていなければ大丈夫だろうと判断していました。
まとめ ・カタカナ言葉、専門用語は使わない ・聞き手に違和感なく伝わる、普段使っている言葉に言い換える。 |
4. みんな思ったよりプレゼンに興味がないので仕掛けがいる
みなさん、大体最初の1分はなんだかんだ聞いてくれますが、数分もしたら大体今日の晩ごはんのことを考えます。
それはプレゼンがシンプルに冗長だったりつまらないと思われているというのもありますが、そもそも人間の集中力はそんなに持たないんです🥺
前提として、聞き手は「早く」「手短に」「できれば面白く/興味深く」ことを聞きたいと思うんです。
なので僕がプレゼンで心掛けたのは
- 早く:結論ファースト
- 手短に:結論を一つにして、短い文章で伝える
- 面白く:注意を引くトリガーを入れる
です。
聞き手が一番知りたいことからまず話す。短い文章にして大事な内容だけ簡潔に言う。このようにしてわかりやすさとメリハリを出しました。
また、適度に聞き手の注意を引くテクニックも程よく入れました。例えば、
- 「皆さん、今日私はあることを伝えにきました」と冒頭で宣言する
- 「3つの根拠があります」と3つの何かを提示する
- クライマックスで声量を上げる。大事なところは明らかに声のトーンを変え、その後に数秒の間を入れる
などです。これにより聞き手の反応を見ながら、プレゼン途中に調節することができます。他にも手法があると思うので、自分なりのベストを見つけてみてください。
ギャグは下手に狙いにいかないほうがいいかなと思います。失敗した時に「あの人ギャグ滑って汗かいてる、効いてるのかな❓」と思われるからです。
まとめ ・結論ファーストで。短い文章でメリハリのあるプレゼンを。 ・ギャグはやめておこう |
5. どう伝えるかを研究する
発表している内容は素晴らしくても、発表している自分が自信なさそうであれば、聞き手は違和感を感じます。なので、プレゼンの際は
- ハッキリした声で話す
- 笑顔で話す
- 相手の目をしっかり見る
を意識し、自信があるように話すようにしました。
そして内容に関しては、取り組んだこと(= What)よりも、ストーリー(= How / Why)をまず話しました。ここで特に気をつけたのは、自分がめちゃくちゃ優れているかの如く語らないことでした。
自信なさそうに話すことは良く無いですが、いかにも「自分はすごいんだぞ❗️」と言わんばかりの実績カードゲームをしては、聞いてる人に「なんか鼻につくなぁ🤔」と思われる恐れがあります。僕は思います、もちろん、えぇ。そうなるとゴールである「相手を動かす」は成功しにくくなります。
なのでまず天河は、プレゼンの最初に自分の不足している事、失敗している事など、オープンにしました。そして自分が何を悩んだり困ったりして、それをどのように乗り越えていったのかをストーリー調で話しました。
最初の実績ばかり載せたプレゼンと比べて明らかに聞き手の反応が良かったです。
正論ばかりでは共感を生みにくいですし、お願いも通りにくいです。等身大の弱い自分を見せ、自分の経験したストーリーを聞き手に追体験させる。この方が聞き手の共感を生むのかもしれないですね。
以上を踏まえて、以下のことを意識して練習しました。
- 声はでているか。
- 表情は硬くないか。笑顔か。
- 身振り手振りがちょうどいいか。
- 聞き手の目を見ているか。
- セリフの間合いは適切か。「あー」「えー」などがないか。
- 制限時間は守れているか。
- 10回に1回は動画を撮り、おかしなところがないか。
- 聞き手のことを想像し、一人一人に対して話している意識になっているか。
- 鼻につくような内容になっていないか。
伝えたい気持ちに合わせて自分を演じる。これもプレゼンの重要な要素だと思いました。
まとめ ・自信を持って、目の前の相手に話しかけるかの如く話す ・あまり自分を大きく/小さく見せ過ぎない。等身大の自分を見せる。 |
6. 引くくらいの練習と準備をする
投票してもらうために天河が行ったことは、途方も無い練習と準備でした。だって受賞したら30万貰えるもん
天河は、プレゼンを通して相手を動かす=投票してもらうためにできることは全て行いました。
- 競合の分析を徹底的にする
- 視覚と聴覚に一番インパクトが出る声・身振り手振りはどれかを探す
- 投票促進のイベントで人を頼りながら投票依頼をする
- 違うグループの方に急に声をかけて発表のデモを見てもらう(怖い)
- 発表会場に実際に足を運んでイメージを巡らせる
などなど。
練習に至っては、5分の発表の時は50回、1分の発表の時は200回発表の練習を行いました。社長から「お前いつ仕事してるんだよ」って言われるくらいには練習しました
1分の発表のためにとてつもない労力をかけたと自分でも思います。しかし、これくらいやって初めて人は動くと思います。人を動かすために、自分ができることは全て行うべきだと思ってやっていました。台本を見たり時間を超過する方がいましたが、「えぇ…😨」と思って見ていました。台本を見れば、聞き手と目線が合わないし、時間超過すればそもそも運営の方々と他のプレゼンターに迷惑がかかります。何にもプラスにならないのです。
相手に伝えたいことを伝え、その上で動いてもらうためには、とてつもない準備と練習が必要だった。プレゼンが終わって数ヶ月経った今でもかなり痛感しています。
まとめ ・プレゼンで一番大事なのは相手に動いてもらうこと ・人を動かすためには時間と準備は惜しまずにやる |
おわりに
いろんなことをつらつら述べましたが、結局は
「相手が欲しい情報はなんだろう?」
「相手は何をしてほしいんだろう」
と相手目線で考え、プレゼンを組み立てて全力を尽くすことが、聞き手を動かす上でとても大事になってくると感じました。
これを読まれた方のプレゼン準備の際に少しでも参考になれば幸いです。