新卒研修でDevOpsの歴史を語った件

GTB

こんにちは、GMOアドマーケティングのmizkichです。
アドテクなマイクロサービスをGCPのKubernetesで運用しています。

GMOではグループ全社の新卒エンジニアに向けて、技術力向上・適性判断を目的とした研修プログラム「GMOテクノロジーブートキャンプ」を毎年実施しています。

今年度は非常勤講師として「DevOpsで必要とされるエンジニアスキルの変化」というタイトルで登壇させて頂きました。

「DevOpsと継続的デリバリーの関係性」や「技術の進化によりエンジニアの担当領域の変化」などを踏まえ、DevOps時代のエンジニアの技術スタックの広さを解説しています。

この記事では、この講義を作る事になった顛末や発表資料の共有などをしたいと思います。


・GMOテクノロジーブートキャンプとは

社内では略してGTBと呼んでいます。
GTBの内容を端的に言うと、一ヶ月の集中講義で新卒に成果物を作成させるブートキャンプです。

以下は、GTBが開始された2014年当時の記事です。

 

2014年当時はカリキュラムが10種類にまとまっていました。
2020年現在では、エンジニアとクリエイターに独立したカリキュラムを用意しており、講義の数は20に達しています。


・担当講義の目的

追加されたカリキュラムには「DevOps」「構成管理」「コンテナ技術」などの今時っぽい講義があります。

これら三つの講義の合計時間は10時間です。
私はコンテナ技術の枠5時間のうち、1時間を任されました。

コンテナ技術の残り4時間のテーマは「Docker & Kubernetes」です。

「Docker & Kubernetes」の講義は昨年度も実施されており、資料の枚数は149ページでした。
今年度は更に増量し、209ページの超大作になっています。(以下、今年度資料)

 

私が担当する講義は、「Docker & Kubernetes」以外のコンテナ技術を伝える事となっていました。
しかし、209ページの中で技術の中核や大体のことが既に語られてしまっています。

サービスメッシュなどのより深掘った内容は新卒向けとは思えず、1時間の枠に見合う内容がイメージ出来ずにいました。

そこで、講義目的の考え方や視点を少し変え、「Docker & Kubernetes」をより真剣に受講して貰うための補助に徹することにしました。

前講座であるDevOpsや構成管理の内容を踏まえ、「Docker & Kubernetes」がなぜ必要なのかを伝える事を目的とすることにしました。


・コンテナ技術の必要性を伝える自己啓発

この講義では、主目的として「前講座(DevOps, 構成管理)との繋がりを伝える」が有ります。
そして、複目的として「後講座(Docker & Kubernetes)で書きにくい事を補足する」が有ります。

後講座が書きにくい事、とは以下の内容でした。

  • モノリスからマイクロサービスになった理由。
  • コンテナオーケストレーションのオンプレとクラウドでの違い。
  • DevOpsがマイクロサービスと相性の良い理由。

資料に含めるべきキーワードは「DevOps・構成管理・モノリス・マイクロサービス・コンテナ・Kubernetes・オンプレ・クラウド」です。

キーワードが8個もあり振り幅も大きいため「Docker & Kubernetes」に含められない理由も頷けます。

無理なく一つの資料に8つのキーワードを登場させる方法として、DevOpsを主役にする方法を思いつきました。

DevOpsを主役として、時代によって変化する技術と出会うことで、DevOpsがどう変わるかを解説する流れです。

技術の変化によって、かつての「プログラマー」と「インフラ屋」の境界が曖昧になっていること、コンテナが今後の必須スキルであることも伝えようとしています。

 

以下、作成した資料です。

 


・まとめ

今まで20回以上講義を担当しましたが、今回も新しい経験の多い講義でした。

  • メインの講義を支援する講義
  • 開発方法論の講義
  • 技術の詳細ではなく、雰囲気を伝える講義
  • オンラインでの講義
    などなど、私にとって変化球に思える要素が多い、得ることの多い講義だったと思います。

今回の様な目的がモヤっとした講義では、まず不明瞭な目的を明確な目的に定義し直し、その目的達成を主軸にページを構成することで、意外にまとまりのある資料が作れるのだと実感しました。

今回は、新卒エンジニアたちに幅広い技術に興味を持ってもらい、変化に強いエンジニアになって欲しいと願って資料を作りました。

それが伝わる講義が出来てたら良いなと思います。