常識が変わる武器ーー量子コンピューター

こんにちは、GMOアドマーケティングのS.Rです。

皆さん、“量子コンピューター“を知っていますか?
2015年にGoogleさんが発表した論文によると、量子コンピューターは従来の技術の計算速度より1億倍早いという結論が出ていました。
今回は、量子コンピューターは現在のコンピューターに取って代わるのか、皆さんに説明します。

※なお、この記事中の図示は、特に断りが無い限り筆者が作成したものです。

今のコンピューターの構成

皆さんが現在使っているコンピューターは、コンピューターが誕生してからずっと変わっていません。

コンピューターの構成について、最も基本のコンポーネントはトランジスタです。

トランジスタにより電気信号の状態を保存できます。

 

複数のトランジスタを組み合わせて、論理回路を構成できます。

論理回路を使って基本計算(+、ー、Xなど)のモジュールを作れます。

さらにたくさんの基本計算モジュールでCPUを作ります。

この仕組みによって、トランジスタの数が多くなるとCPUの計算力が高くなります。

コンピューターの誕生から今までの年月により、1CPUあたりのトランジスタの数はとても多くなりましたが、基本的なコンピューターの構成原理は全く変わっていません。

量子コンピューターの基本原理

量子コンピューターの基本原理を理解するために、まず量子の特性を皆さんへ紹介します。

量子(りょうし、quantum)は、物理学において用いられる、様々な物理現象における物理量の最小単位である

量子、2020年03月07日、ウィキペディア日本語版、https://ja.wikipedia.org/wiki/MeCab

今回のブログで使ってる量子は光子、電子となります。

量子のSuperposition

量子は磁極を持っています。

量子の磁極は、観測者に計測される前は2つの方向を保っています。この時の量子の状態を Superpositionと呼びます。

量子はSuperpositionになる時、我々には計算できない二つの並行世界にいます。Superpositionにいる量子が測定さえすれば、一つの磁極の方向だけを持っている状態へ戻ります。測定された磁極の方向は一定の確率があります。例えば、磁極Sが上になる確率は60%です。

QUBIT

Superpositionにいる量子の磁極方向を利用して、0や1を定義したら、一つの量子0と1を同時に格納できます。これは量子情報の最小単位QUBITです。

QUBITで格納できるデータ量は、QUBIT数と指数関係を持っています。

300QUBITで現在人が認知できる全ての数字を格納できます!

量子のEntanglement(量子もつれ)

コンピューターを構成するためのデータを格納するだけでは足りません。

論理回路のような計算用のパーツが必要です。

量子のEntanglementは、量子コンピューターの計算パーツを構成する理論基礎です。

量子のEntanglementとは

二つの量子は一定の操作(光回折など)によってEntanglementの状態になります。Entanglementの状態に入っている二つの量子は、どんなに遠くても磁極方向は逆になります。

量子のEntanglementを利用して、論理回路と同じ様なパーツを作れます。

これはQuantum logic gateと呼ばれます。Quantum logic gateで構成された計算パーツは同時に複数の計算を実行できます。

例えば1QUBITの加算器で加算を処理します。量子コンピューターで一回計算すると、全部で四つの換算結果を取る事ができ、従来の加算器より4倍早くなります。

列挙計算なら、10QUBITの加算器を使用すると、従来の加算器より1億倍の計算速度を達成できます。

量子コンピューターは現在のコンピューターと取り代われるか

結論はいいえです。

原因は量子コンピューターの計算速度は従来のコンピューターより圧倒的に早いですが、現状のプログラムの仕組みとは合いません。量子コンピューターでゲームをすることは不可能です。

量子コンピューターで何が変わるの?

量子コンピューターの長所は列挙計算です。

もし量子コンピューターを実装できたら、三つの領域は革命的な変化が発生するでしょう。

セキュリティーシステム

量子コンピューターを使えば、現在だと一番強い暗号(アルゴリズム)を数十秒で解読できます。

機械学習

機械学習のモデルを学習する流れの本質は、モデルのパラメータの範囲で一番良い値を探すことです。量子コンピューターを使えば、機械学習のモデルを学習する時間は大幅に短縮できます。

新薬開発

新薬の開発は多種多様な化学物質を組み合わせ、最適なパターンを見つけ出す必要があります。

しかし、有効とされる化学物質は星の数ほど存在するので、組み合わせのパターンも多いです。

例えば、がんの治療薬の組み合わせパターン数は1,000万兆以上です。

これほどのデータ量は、量子コンピューターしか処理できません。

まとめ

今回は量子コンピューターの基本原理と用途を皆さんへ説明してみました。いかがでしたでしょうか。量子コンピューターは今最も期待できる領域の一つなのでIBM,Googleは量子コンピューターに山ほどのリソースを投入しています。将来は量子コンピューターに関する新しい業種も出るかもしれないです。

今回のブログが皆さんの量子コンピューターの理解にお役に立てば幸いです。